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変容する幽霊やゾンビは、一種のウイルス?

本日、お寺での法事を終え、午後から「幽霊の歴史文化学、ふたたび」というシンポジウム(二松学舎大学会場)に参加してきました。


本シンポジウムは、昨年2月に同大学で行われたワークショップ「幽霊の歴史文化学」の続編だそうです。


幽霊が日本の歴史の中でどのようなものとして捉えられてきたかを、歴史学、メディア学、美術史学、文学、観光学などの多岐にわたる分野から考えていきます。


まず会場に入って驚いたのは、主催者の方々が率先してオバケや巫女さんなどの格好をしていたことです。お手洗いのご案内もホラー的。受付のドアにも塩がありました。知的な討論会であると同時に、エンターテイメント性の配慮が行き届いた、素敵な運営でした。


主催者のお一人である小山聡子先生(二松学舎大学教授)は、以前に研究会でお会いしたことがあり、中世の「もののけ」観について、興味深く拝聴したことを覚えています。新たにに、『幽霊の歴史文化学』(小山聡子・松本健太郎編、思文閣出版、2019)をご出版されています。


シンポジウムは二部構成でした。

開会の辞 小山聡子(二松学舎大学)

趣旨説明 松山健太郎(二松学舎大学)

第一部 「跋扈する幽霊、ゾンビ」

 ①近藤瑞木(首都圏大学東京)「幽霊は斬れるか?ー幽霊の非肉体性に関する一考察ー」

 ②山本陽子(名星大学)「上から出る幽霊ー幽霊は何故蚊帳に入れないのかー」

 ③岡本健(近畿大学)「「想い」や「怨み」の残滓としてのゾンビ」

 討論 司会:足立元(二松学舎大学)


第二部 「怪談と幽霊の最前線」

 講演 東雅夫「平成から令和へー怪談文芸の過去・現在・未来」

 鼎談 東雅夫・小山聡子・松本健太郎「幽霊/幽霊研究はどこに向かうのか」

  司会:山口直孝(二松学舎大学)



所感はたくさんあるので書ききれませんが、松本健太郎先生が趣旨説明で仰っていた、「過去から現在に至る幽霊をめぐる多角的イマジネーション」、「時代とともに変容する幽霊イメージ」、「なぜ人々は不可知な死に惹かれ、存在しないはずの幽霊をイメージするのか?」といった観点は、仏教とも深く関係する事項です。


また、第一部の討論にて、「怖い場面は変容する」という具体例が面白かったです。蚊帳が幽霊からの隔離場所として機能していたものが、のちに蚊帳に入る幽霊に進化する。現代の映画「呪怨」では、布団の中に登場してくる。幽霊という恐怖は、その時代を生きる人間の、避難場所(入って欲しくない領域)に入ってくる。そんなお話の展開が、面白かったです。


幽霊やゾンビを考えるうえで、「効果がなくなると新基軸として新たな恐怖が生まれる」という点は、まるで一種のウイルスのようです。


加えて、最後の鼎談にて、「幽霊というと怖いイメージがありますが、実はそれだけではなく、重要な歴史を記憶させる為のツールである」というようなお話があり、それもまたなるほどな、と思いました。


私自身、もともと幽霊に関心があったというよりは、大学院時代に、近世の寺社縁起に関心がありました。

近世の寺社縁起には、怪異(不思議でめずらしい出来事)が多く語られており、そのなかには幽霊伝説も少なくありませんでした。

ですので、幽霊に興味があったというよりは、むしろ寺社縁起を知るために幽霊について調べざるをえない状況に置かれた、という表現が適切かもしれません。


また、幽霊といえば、数年前に、「落語の中の浄土真宗」実行委員会主催による落語口演会の際、釈徹宗先生と対談させていただいたときのテーマが、「幽霊といっしょ」でした。当日はわたしの力量不足で、来場者に多大なご迷惑をお掛けしたことは忘れられません。


そんな個人的な経緯があるなか、本日のシンポジウムは、幽霊についてじっくり考える時間をいただいたとともに、今後、引き続き変容していく幽霊のイメージに注目していきたいと思えた時間でした。


貴重な示唆を賜り感謝申し上げます。



『築地本願寺の隣にあるお寺、法重寺』


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