昨日、築地本願寺 振風道場にて、東京教区青年僧侶協議会(略称「東青僧(とうせいそう)」)主催の研修会がありました。
東青僧とは、浄土真宗本願寺派・東京教区(関東地方と静岡・山梨県)における40歳以下の青年僧侶が中心に集まり、ともに研鑽し親睦を深めていく事を目的とした任意団体です。
いくつかの部にわかれて運営が行われているのですが、この度は社会部主催の研修会が開催されました。
研修会のテーマは、
お墓にまつわる法律について〜弁護士に聞く日頃の悩みの解決方法〜
でした。
本研修会の講師は、「特定非営利活動法人 遺言・相続リーガルネットワーク」に所属する弁護士の方々です。ご登壇くださる弁護士の人数は、まさかの、
5名!
予定ではもうお一人加わって6名だったようです。なんと贅沢なことでしょう。
「特定非営利活動法人 遺言・相続リーガルネットワーク」のウェブサイトはコチラ。
遺言・相続に関する書籍をはじめ、『お墓にまつわる法律実務』をご出版です。
さまざまな問題・疑問について幅広く収録されています。
さて、本研修会は2部構成でした。
第1部、お墓を巡る法律問題Q&A
第2部、墓地・納骨堂の規約
お話くださった内容を、列挙しておきます。
第1部、お墓を巡る法律問題Q&A
・墓じまいと祭祀承継
・お骨の一時預かり、自宅安置
・ペットとお墓
・納骨堂を設立するために必要な手続き
・その他散骨など
ーーー
第2部、墓地・納骨堂の規約
・規約とは
・規約を作成する意義
・規約の改定について
・永代使用について
・管理料の不払いについて
・祭祀承継、祭祀承継者の行方不明
・墓石撤去、改葬など
(当日資料より引用)
当日の様子です。
弁護士と若手僧侶とのQ&A形式で進行されました。
弁護士の先生方は、お墓にまつわる疑問、トラブルについて法律や実際の裁判例を取り上げながら、 終始わかりやすく解説してくださいました。
お墓にまつわる問題は、お寺と祭祀承継者(お墓の管理人)との関係から生じるものがほとんどです。
個人的に興味深かった点は、「ペットとお墓」です。
現在の法律では、宗教法人がペット葬祭事業を大々的にすると、収益事業として課税対象になる可能性が高いことで知られています。(ただし各地域税務署の判断によって見解は異なります。)
ペット葬祭事業を収益事業と判断することは、ペットを”いのち”ではなく”モノ”として判断していることを意味します。
お墓にまつわる法律では、
人間の遺骨かどうか
が重要な判断基準であり、ペットはあくまで人間の”愛用品”なのです。
言うまでもなく、仏教的にも、日本古来の習俗的にも、動物を”モノ”として捉えません。
日本人の多くは、犬や猫などの動物を、人間と同じかけがえのない”いのち”であると考えるでしょう。
しかし、日本の法律には、”人間の支配下にある動物”といった考えが根底にあるのかもしれません。おそらく、法律が成立するまでに至った思想背景などが問題になってくるのでしょう。
ご登壇くださった弁護士の方は、「お墓に関する法律は、いまだ曖昧な点が多く、お坊さんとともに考えていかねばなりません。」と仰っていました。
その一例に、ペット納骨の問題があると感じます。
以上、本研修会は、さまざまな知見が得られ、かつ今後のお寺の実務に役立つ非常に有意義な研修会でありました。
「特定非営利活動法人 遺言・相続リーガルネットワーク」所属の弁護士の方々におかれましては、貴重なご講義とお時間を賜りましたこと、厚く御礼申し上げます。
そして、東青僧社会部のみなさま、企画運営有難うございました。
『築地本願寺の隣にあるお寺 法重寺』
Comments